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ハラがコレなんで





『ハラがコレなんで』は、2011年の日本のコメディ映画である。監督および脚本は石井裕也、出演は仲里依紗、中村蒼、石橋凌など。妊娠9か月でシングルマザーとなった主人公・光子(仲)が、みずからの薄幸は捨ておいて周囲の人々を救っていく人情ドラマ劇である。







あらすじ

原光子は妊娠9カ月。アメリカ人と別れてアパートを引き払う。医者に「普通は安定期に入るのだが」といわれるが、「私には安定期はなかった」という。光子は昼寝すれば大丈夫と楽観的で、リストラされた男にも昼寝を勧める。子どものころ夜逃げした両親と暮らした時代遅れの長屋に向かう。米軍の不発弾が残っているというのが口癖で毒舌だった大家のおばちゃん・清は寝たきりで、戦死した夫のもとに早く行きたいと願っている。光子は清の世話をしながら長屋で出産する決意をする。



過疎化した町に幼な馴染の陽一とその叔父・次郎が細々と食堂を経営していた。再会した陽一は15年前の結婚の約束に責任を感じて動揺する。次郎は喫茶店「べる」のママに想いを伝えることができないでいる。陽一は光子に預金通帳を渡し、子どもの面倒をみるとタンカを切る。



通帳の残高を見た光子は自分が店の面倒をみるという。翌日から光子は客引きを始め、次第に光子の人柄を慕う客で食堂は繁盛し始める。ママが病気の母親がいる福島に帰るというが、次郎は引き留めることもできない。義理人情を重んじる光子はみんなで福島へ行こうと提案。そこに再び夜逃げした光子の両親が戻って大混乱。光子が「OK、一旦昼寝をしよう」の言葉に一同は横になる。その数分後、不発弾が爆発。光子の運転で福島に。次郎がプロポーズ。光子は破水して野原で出産。






仲里依紗&中村蒼、大人になって見せた等身大の"粋”な芝居

日本が誇る若き新鋭・石井裕也監督が、最新作「ハラがコレなんで」で選んだ新たなミューズは、女優として目覚しい成長を続ける仲里依紗。演じるのは、どんな崖っぷちの状況でも“自分のことよりも他人のこと”を優先する肝っ玉妊婦・光子だ。そんな光子を取り巻くのは、「BECK」「大奥」と話題作に引っ張りだこの若手実力派・中村蒼演じる寡(か)黙な好青年をはじめ、現代社会の“絶滅危惧種”とも言える義理人情にあふれた人々。旬の才能がぶつかり合い、元気を失いかけた日本中に活気を提供する快作が完成した。(取材・文/山崎佐保子、写真/本城典子)






「こんなに若くして妊婦やるんだあって。聞いたときはびっくりして、ちょっと不安でした」と仲が言うように、主人公の原光子は妊娠9カ月の女の子。お金も家もなければ旦那もいない。常に腹部に重い“詰め物”を装着した状態での撮影は、想像するだけで腰が痛くなるが「光子って妊婦さんぽくない妊婦さんだから、意外と面白く演じられました」と笑う。「光子は『風の向くまま昼寝でもして待っていればいい』『いい風が吹いたらそのとき行けばいい』みたいなことを言いますけど、私もそういうタイプ。あんまり焦ったりしない。ただ、決めたことはちゃんとやり遂げようって意識はあって、そういうところは自分と似ているなって思いますね」。そう話す仲からは、どこか光子と共通する“芯の強さ”が垣間見える。



そんな光子を陰ながら支えるのが、中村演じる幼なじみの児玉陽一。二人は幼いころ、今では珍しくなった集合住宅の長屋に暮らしていたが、光子の親の都合で15年もの間、疎遠になっていた。“いまどき”と言われる人種とはかけ離れた渋みを醸し出す陽一に、「すごく格好いいと思うし、自分もそういう目線で演じていました。なかなかいない人物」と中村は評す。これには仲も「いま流行の草食系男子とか、どの系統にも当てはまらない。陽一は純粋で、やるときはやる、守るときは守る、そういうことをきちんと口に出して言えるかっこいい男」と同調する。



ドラマでの共演を経て、数年ぶりに再会したというふたり。そんな空白の時間を感じさせない、あうんの芝居を繰り広げている。だが、ともに会話でのコミュニケーションが苦手だといい「仲が悪いわけじゃないんだけど、現場ではあんまり話さなかった」と仲が明かせば、「僕はすごい人見知りなので、久しぶりに会って、また振り出しに戻ってしまった感じ(笑)。仲さんも良い意味でとても大人になっていたので……」と照れながらうつむく。シャイなふたりだが、「言葉にはしなかっただけで、『お互い大人になったね~』って密かに思っていましたけどね」と仲が言うように、内心では互いの成長をしっかりと感じ取っていたようだ。



それぞれの道を邁進してきたふたりにとって、「川の底からこんにちは」(10)、「あぜ道のダンディ」(11)と、次々と斬新なオリジナル作を生み出している石井監督との仕事は、どんなものだったのだろうか。

「セリフの言い回しやリズムを、実際に自分でやって見せてくれるから分かりやすい。『宇宙みたいに』とか言われて、よく分かんないときもあったけど(笑)、自分の撮りたい画もしっかりとしているし、できなかったら何度でもやる。監督が粋なんで、映画も粋になったと思う」と全幅の信頼を寄せる仲。また、「現場ではとにかくやりきるだけで、どう見られようといいやって思っていた」と女優魂を見せながらも、「実際に劇場の大きなスクリーンを見て、あんな大きなところに自分のアップが映し出されると思うと怖くなった」と本音ももらす。それだけ役への思い入れの強さが伝わってくる。



一方の中村は「泣ける映画って登場人物がとにかく泣いていて、それを見ていると泣けなくなってしまうことがありますが、この映画は訴えすぎない。その饒舌(じょうぜつ)すぎないところがいい」と分析。さらに、「一緒にやっていて居心地が良かった。僕も監督もうまく言葉で伝えられるタイプじゃないから、まず一緒にやってみて、お互い感覚的に芝居を作っていった。無駄なことをしない、シンプルでいることの良さを学びました」と得たものは大きかったようだ。



撮了後まもなく、日本は東日本大震災という未曾有の困難に直面した。「命も大事だけど、生きざまも同じくらいに大切なもの」という石井監督のモットーから産声をあげた本作だが、偶然にも、光子ら一行が人生の再出発を誓って向かう地は福島だ。





「震災だけじゃなく、ちょっとした悩みやつらい思いを抱えている人が『光子を見ていると頑張れそうな気がする』と言ってくれる。どん底なのにこんなパワフルな人がいるってことに元気づけられたって声を聞くと、とてもうれしいです」(仲)


「光子は自分の幸せより他人の幸せを重んじる、心の豊かな人間。ただ女性らしいのでなく、ある部分は男にも負けない強さがある。そんな光子はすごく格好よくて魅力的。まさに監督の言っていたようにヒーローのような女性なんです」(中村)


「コメントが大人だねえ~」と仲に突っ込まれ、思わず赤面した中村。あどけない表情を残したまま、すっかり“粋”な大人に成長したふたりの、これからの活躍にさらなる期待が高まる。

産後のケアーに👶




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