FC2ブログ

記事一覧

超高齢でも健康体でいられる秘訣は【4】




Perkins+Willがデザインした治療施設「Discovery Health Center」。エネルギーには太陽熱や地熱が活用され、家具には有害物質を含まないものが使われている。ロビン・グエンサーが「21世紀の病院デザイン」を語ったインタヴューはこちら。PHOTOGRAPH BY DAVID ALLEE


アンチ微生物の罠




グエンサーは、建物の密閉性が高まっているだけでなく、彼女が病院設計の現場で目にしていたある傾向についても憂慮している。企業が、抗菌の塗料や床材を宣伝し始めるようになっているのだ。病院という世界では、それは非常に心惹かれるオプションかもしれない。何かに感染する可能性が最も高い場所は病院の中だし、病院でかかる感染症は、致死性のものである可能性がほかよりずっと高い。

最近、米国食品医薬品局(FDA)が、ハンドソープにトリクロサンなどの抗菌剤を入れるのを禁止した。時を同じくして、グエンサーはそうした抗菌剤が、実際に感染症を減少させるという証明もまったくなしに、建材の添加剤として売られているのを目にした。

「建物向けの製品には、情報開示も監視もまったくありません。建築業界では、製品についての根拠のない主張がはびこっていて、その傾向がさらに強まっているのです」と、グエンサーは言う。トリクロサンのような抗菌剤が使われている建物で研究を進めている研究者たちは、すでに建物の埃の中のマイクロバイオームで、抗菌剤に耐性のある遺伝子を発見している。「抗菌剤が、より耐性の強いバクテリアと関係あることがわかっているのに、なぜそれを病院に使おうというのでしょうか?」

今日、わたしたちは、リアルタイムに行われている大規模な微生物実験のなかで生きている。ほんの2世代前には、人々はもっと「ゆるい」建物に住んでいた。屋外と屋内の空気は常に交換され、建材はいまよりずっと自然なものだった。いまや、建材は人工合成されたものの方が圧倒的に多い。つまり、わたしたちが吸い込む埃は、人工物なのだ。

有益な屋内バクテリアも、そうした合成物質を食べるかもしれないし、食べないかもしれない。もし食べるとしたら、合成物の毒性によって、バクテリアたちに変化が起きることはないだろうか? 「建材に使われている防火剤は、微生物に対しても、わたしたち人間に対するのと同じような内分泌かく乱作用をもっているのでしょうか? 微生物はこれにどう適応しているのでしょうか?」

グエンサーは米国科学アカデミーの研究が、こうした問題提起のきっかけになればいいと考えている。しかし、いまのところは「SFのいいプロットですよね」と彼女は言う。フロア中に病気をまき散らした犯人が、あの密閉された窓だったのかどうか、わたしが知るまでには長い時間がかかるだろう。だが、いまのところ、わたしは断固として冷水機を触らないままでいこうと思う。




人付き合いは「腸内フローラの多様化」を促す:研究結果




健康に大きな影響を及ぼすとされる腸内フローラ。その多様性を生み出すのに、食生活はもちろん集団や仲間との交流が深く関係しているとする研究結果が示された。





社会付き合いは運動や食事と同じくらい健康に影響するという、数々の論文をまとめた調査結果が以前発表されたが、どうやら腸内細菌の視点から見ても「仲間と戯れる」のはよい腸内環境を整える秘訣となるらしい。集団内での交流は、健康によいとされる腸内細菌の多様化を促す作用があることが、米デューク大学によるチンパンジーの研究により発表されたのだ。

タンザニアのゴンベ・ストリーム国立公園は、カサケラ・チンパンジーの観察が盛んに行われている研究地域だ。ここで生活するチンパンジーの群れは、食物が豊富な雨季になると、集団でエサを探しまわり、盛んにグルーミングをする。

エサが少なくなる乾季になると、チンパンジーは小さなグループか、単独で過ごす時間が多くなり、必然的に多数との交流が少なくなる。そこで、研究者らは幼年から高齢のチンパンジー40頭を2000~08年まで追跡調査し、季節ごとに変化するチンパンジーの食生活や活動パターンと、個々のチンパンジーから採取された腸内細菌叢のDNAとの関連性を調べた。

結果は、毎年食べ物が豊富な雨季には、チンパンジーの腸内細菌の種類は乾季と比べて20~25パーセントほど増えていた。しかし、興味深いことに、食物だけに関連付けた場合、季節ごとの腸内フローラの構成には一貫性がなかった。研究グループは、この変動の一因として、細菌の多様化を促すものは、チンパンジーの主食となるフルーツ、昆虫、葉などの食物だけではなく、季節ごとで変わるメンバーとの交流が関与しているとリリースにて述べている。

興味深いのは、血縁関係にないメンバー間の腸内フローラの構成が、親子のものと同じほど似通っていたことだ。赤ん坊の腸内細菌は、母から子へと垂直的に受け継がれるとされるが、これは腸内細菌が、時間が経つにつれて群れのメンバーからも水平的に共有されることを示唆している。エサを探しまわるため集団で行動することの多い雨季は、グルーミング、生殖行為、そのほか多数の排泄物に触れる機会が増加することが、その理由として挙げられている。




最近の研究で明らかになりつつあるのは、腸内フローラはヒトの健康において重量な鍵のひとつということである。腸内に棲息する複雑な微生物生態系は、われわれの免疫を活性化させ、病原菌の感染を制御したり、消化しづらい食物を分解し、必要な栄養素を合成したりする。

肥満、パーキンソン病、糖尿病は、腸内細菌叢との関連性が示唆されているし、何らかの理由で腸内フローラの多様性が失われると、クローン病、クロストリジウム・ディフィシル感染症といった重病に発展することもある。健康のため、乳酸菌やビフィズス菌などで腸内環境を整える「プロバイオティクス」が注目されているが、常在細菌のバランスが個人の健康において重要な役割を果たしているのは明らかである。

今回のチンパンジーの腸内フローラの研究結果は、人間社会にも通じるものがある。チンパンジーの糞から検出されたプレボテラ属(Prevotella)やオルセネラ属(Olsenella)などの細菌は、ヒトの腸内にも多く存在する細菌だ。研究者らは、人間の腸内フローラの種類が社会交流によって維持されるかどうかはいまだわからないとしているが、おそらくほかの霊長類は、他の個体との共同生活や社会交流によっても、腸内の常在細菌を獲得しているのだろう。

とはいえ、確かに人間社会ではお互いに毛づくろいをすることはないし、特に日本のような国では挨拶にハグやキスの習慣もない。それでもヒトは「微生物の雲」を伴って仲間と交流する。握手や、電車のつり革からでも、日常の行動において微生物は別の宿主へと乗り移ることだろう。

病原菌を恐れるなかれ。もしかすると集団や仲間との交流は、腸内フローラのレヴェルで、あなたの健康にいい影響を及ぼしているかもしれないのだ。




現代社会の問題ですね。健康を買わないとダメな時代ですね

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント